猫ちゃんが虹の橋を渡りました お別れ体験記 ~穂花様の場合~
東京都にお住まいの穂花様よりお寄せいただいた
猫ちゃんとのお別れ体験記です。
まこちゃん、生まれてくれてありがとう
私は自身の過失によって2021年9月17日の台風の夜に
愛猫の真生(まこと)を迷子にさせてしまいました。
近所の皆様のご厚意にも助けられつつ、
一ヶ月に亘り懸命に捜索をいたしましたが…
真生を見つけることができませんでした。
仮死状態でこの世に生を享けた真生は固より幾つもの障害があり、
そのため一度も屋外に出たことがない子でした。
“ねぇね”こと私の紅いピアノの上で「ニャルソック」しつつ、
羨ましそうにいつも窓の外ばかり眺めていた“まこちゃん”の姿が今も思い出されます…
思えば、真生はどれだけお外に憧れていた事でしょう。
真生にとっての「イメージの中のお外」は温かくて、
心地よくて楽しいことがいっぱいある憧れの理想郷だったに違いありません。
しかし。
家を飛び出した真生がはじめて見たその「憧れのお外」が、
実は猫にとってとても怖い場所で…
真生自慢の綺麗な毛皮もピンクの肉球もびしょ濡れで…。
不安に小さな胸をいっぱいにさせながら、
幾ら鳴いて訴えても、誰も助けに来てくれなくて…
絶望のうちにもしも真生がその短すぎる生涯を終えたんだとしたら…
考えただけでつらくて私のほうが消えてしまいたくなります。
実際に、真生がいなくなって以来、飼い主の私もまたずっと泣き続け、
精神科で頓剤を処方されつつ、しかし何も手につかずに引きこもっています。
――例えどのような状況にあっても、
真生が今在るところで幸せでありますようにとだけ祈ろう。
繰り返しそう心に決めても。
毎日自分を責め、飼っている人間の過信と過失のためだけに
悲しい結末に陥れられた真生がただ可哀想で…私は泣いてしまうばかりです。
病死、老衰、事故死…あるいは何らかの飼えない事情が生じて新たな里親さんに託す…。
どういうお別れであっても猫との別離はつらいものですが、
猫の脱走は明らかに飼い主の過失以外の何物でもありません。
「完全室内飼育の真生に限ってどんな場合だろうと飛び出したりはしない」と、
私は完全に過信していました。真生には幾ら詫びても詫びようがありません。
それでもいなくなった当日からこれまで、
近所の方々が交代で真生のことを一生懸命に探してくれました。
そのご厚意に対しては深く感謝しています。
まこちゃん…。
仮死状態で真生が生まれたのは
2020年7月25日16:20のことでした。
暑い夏の日の夕方…
産声を上げなかった真生の体重はたったの85グラムしかなく、
呼吸すらしていない状態でした。
必死で蘇生を試みたものの、
真生にはいろんな障害が残ってしまいました。
それでも真生は一命を取り留め、奇跡的に助かったので、
生命のある子だなと感じて「真生 まこと」と名付けました。
真生が生まれた十数分後、
双子の妹・サビ猫の真宙が生まれましたが…
小さい時は二匹ともさほど変わりがないように見えても、
成長するにつれて次第に障害が目立ち始め、
真宙との発達の差が顕著になっていく真生でした。
真宙がすぐに昇れるようになったキャットタワーも、
真生は一週間以上マスターできませんでした。
それでも(何度も落ちたり滑ったりしながらも)
諦めずに昇る練習を繰り返す真生の様子に(同じく障害者の)
私は「生きることの本質」を備に考えさせられたばかりでした。
手術はじめ、真生にはつらい思いもたくさんさせてしまいました…
もし予めこんなに短いニャン生だとわかっていたなら、
もっと我儘も赦してあげればよかった。
もっといっぱい遊んであげればよかった、
もっといっぱい抱っこしてあげたかった…
言葉ではとても言い表せず、後悔は尽きません。
それでも、真生は獣医さんも太鼓判をくださるほどの本当にいい子でした。
我が家は(主に障害や病気の在る保護)猫の多頭飼いをしているのですが、
その中に在って、常におっとりとマイペースで人懐こく、
ムードメーカー的な存在の“まこちゃん”でした。
まこちゃん、生まれてくれてありがとう。
仮死状態で生まれて脳障害もあるあなただったけれど、
ハーフバースデーも大好きなじぃじもお招きして一緒にケーキでお祝いしたね。
今年の7月25日には、妹の真宙ちゃんと母猫の真夏ママの誕生祝も兼ねて、
あなたの満一歳のお祝いも出来てねぇねはとてもうれしかった。
あなたが大好きだったプリキュアのケーキを食べて、
新しいキャットタワーにプリキュアのガーランドを飾って…
真宙ちゃんとツーショットの記念写真を撮った事をあなたは憶えているかな。
特に今年のプリキュアのオープニングテーマがお気に入りだったあなたは、
YouTubeで繰り返しリピートし、音楽に合わせて歌うようにゴキゲンに鳴いていましたね。
(まこちゃんが大好きだった)ねぇねの訪問看護師のお姉さんから
「まこちゃんはプリキュアの歌が歌えるんだね、すごいね」とお褒め戴いた時、
まさしく「エッヘン」と得意げな表情をキメこんでいたあなたの事が、
ねぇねは可愛くて仕方ありませんでした。
なのに…私は最後までまこちゃんの事をねぇねとして守れませんでした。
本当にほんとうにごめんなさい。
いなくなってしまう前の夜、
あなたが私のベッドでじっと顔を見つめてきて、
一言「にゃぁ~ん」と鳴いて眠ってしまった姿を思い出します。
いつも寝るときは抱っこをせがむあなただったから…
いつもの事だろうなと思いつつも、余りに可愛すぎるのでカメラを向け、
ファインダー越しに寝落ちするあなたの動画を撮ったのがまこちゃんとの最後になりました。
今になって思うと…わざわざ鳴いて寝落ちしていったあなたは、
もしかしたらどこか痛かったり苦しかったりしたの?
ねぇねは何一つ気づいてあげられず、いつも通りのお甘えだと思っていたけど…。
もう本当に苦しいよ、なぜ気づけなかったんだろう…
まこちゃん。私に限らず…
あなたがいなくなってしまってから他の猫さんたち、
特に妹の真宙ちゃんがすごく落ち込んで元気がなくなってしまったんだよ。
お医者さんにもきちんと診てもらってはいるけれども、
真宙ちゃんは以前のようにはごはんも食べられないんだよ…
真宙は今でも夜中に怖い夢を見るようで、
突然大声を挙げて飛び起きて、
興奮しては痙攣を起こしちゃっているよ。
「双子のお兄ちゃんが突然いなくなったから…
調子を崩すことはむしろ当然だ」と受け止めつつ、
ねぇねは真宙ちゃんを見守っているんだけど…
まこちゃんもどうかこれからも遠くから妹の事を見ていてあげてね。
あの台風の夜から一ヶ月の時間が経過し、
10月17日となりました。
真生がいなくなって今日で一ヶ月。
まだまだ気持ちの整理は尽きませんが、
妹猫の真宙はじめ他の猫さんたちのために、
何より私自身がもう一度前を向くために、
一旦けじめをつけますね。
とはいえ…一切の現実を何も受け容れられない私は、
まだ真生の遊んでいたおもちゃも食器もそのままにしているような状態です。
真生については亡骸も脱走した際に着けていた首輪すらも見つからないので…
本音の部分では現実を受容し切れていません。
何かしらの区切りは必要だと思いながらも、
現時点ではとても猫用の仏壇や位牌を購入する気にはなれない私なので…。
もうしばらくは(お別れのために用意した)
天使の羽を付けた(真生を形どった愛らしい)ちりめん細工の猫ちゃんと、
虹の橋をモチーフにした七色の紫陽花のリースとを部屋に飾りつつ…
今は会えないまこちゃんの虹のたもとでの幸せを祈ります。
今は何も受け入れられず、
自分自身を含め何も許せなくなっている私ですが、
ある程度時間が経って、気持ちの整理がついた時に
別の形で真生への感謝を以て改めて供養をしたいと思います。
生まれてから姿を見せなくなった夜まで、
僅か420日間の短すぎるニャン生。
現時点ではとてもつらくて、事あるごとに泣いてばかりいる私ですが…
一つだけ自分の中ではっきりさせたい事があるとするなら
「真生は私を悲しませるためにうちの子として生まれたのでは決してない」という事実です。
むしろ、真生はそのハンディキャップがありながらも諦めない姿を通して、
普段は(自ら障害があり、歩けなくて車椅子に乗っている事で)いじけてばかりの私に対し、
毎日を一生懸命生きることの大切さを教えてくれたのだと思っています…
そう私が本心から思えるようになれるまで、
真生の分まで投げやりにならずに生きるように努めます。
もう少しねぇねが強くなったら、
まこちゃん、その時にはまた会えますように。
泣いてばかりいるねぇねだけどね、
胸のずっと奥で…本当は心からあなたに会えてよかったと感謝しています。
ありがとう、まこちゃん。
今までも、これからもずっと…あなたのことが大好きだよ。
ねぇねより
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