ミニウサギちゃんが虹の橋を渡りました 死別体験記 ~T.K様の場合~
滋賀県にお住まいのT.K様よりお寄せいただいた
ミニウサギちゃんとの死別体験記です。
びわは、ピーターラビットのような淡い茶色のミニウサギで、丸まった姿が、果物のびわのようなのでそう名付けました。9年前に、まだ結婚する前の妻と私とで、駅前のペットショップで見つけました。既に大きくなっていたびわは、店員さんに、「だっこしても大丈夫ですか?」ときくと、「えっと、この子は・・・」と言われるような子で、決して人懐こいうさぎではありませんでしたが、新しい環境にすぐ慣れてくれて、これまで何度か病気もしたけれど、長い間、いっしょに時間を過ごしてくれました。
半年くらい前に、下痢をする時期があり、トイレをうまく使えなかったことから、決まった場所で用を足す習慣がなくなってしまいました。それからというもの、下半身がひどく汚れることが多くなり、そのたびごとに洗っては乾かしていたものの、うさぎにとって大切な足が少しずつ弱っていってしまいました。それでも、晴れた日にお庭へ出してあげると、まるで野生のうさぎのように、走ったり、好きな場所にもぐったり、私が大切にしているハーブガーデンを食べ散らかしたりしていました。
2020年の梅雨は数十日間にわたり晴れた日がないようなひどいもので、大好きなお庭に出られないびわは少しずつ元気がなくなり、ある日を境に、驚くほど弱った姿になりました。少しも歩くことができず、自力で水を飲み、食べ物をとることもできなくなりました。私たちは、びわをケージから出し、ペットシーツを切って作った手作りおむつを身につけさせ、クッションを敷いたバスケットに寝かせました。薄めたジュースや食べ物を口元に運び与えることは、4歳になる長女もお手伝いしてくれました。そして1週間ほどして、この「介護生活」にもようやく慣れてきたある朝、昨夜バスケットに寝かしつけ、おやすみと言った時と少しも変わらない、まるで生きているかのような穏やかな顔をして、びわは冷たくなっていました。妻は、「私が、苦しむ姿を見たくないって言ってたから、夜の間を選んで死んじゃったのかな」と泣いていました。その日、家族でお別れ会をして、翌朝、みんなで早起きしてびわの大好きだったお庭に埋めました。火葬をしようかどうか迷いましたが、お庭が大好きな子だったので、あえてそのままの姿で土葬しました。
その朝は、晴れ間こそないものの、雨は降っておらず、ちいさな後悔はいくつかあるけれど、一つの命を最後まで大事にしたと信じる私たちの心を映したようでした。あの日、一度ペットショップの外に出て、「きっと最後まで大切にできる」と決心し、ちいさな命を家族に迎えた貧乏学生二人は、病気の時はローンまで組んで、なんとか天寿を全うさせることができました。その間、二人は社会人となり、結婚もして、新しい命も生まれました。環境は目まぐるしく変わり、引っ越しも何度か経験しましたが、それでも、いつもびわのいるところが私たちの居場所でした。そんなびわがいなくなったことはとてもさみしく、この、涙をこらえた曇り空のような気持ちはしばらく続くと思いますが、びわと一緒に過ごすことでめぐりあい、たどりついた今の暮らしを大切にして、これからも家族で支え合っていこうと思います。
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